賃貸契約を結ぶ際は、自分の年収を提示して家賃の支払い能力を証明する必要があります。
しかし、「希望の物件を借りるには少し年収が足りない」といった理由から、少しだけ高く申告する方も少なくないのです。
そこで本記事では、賃貸の審査で年収の嘘をつくリスクやメリットを解説します。
正しい知識を身につけて、健全な物件探しを進めていきましょう。
- 年収の嘘をつけば理想の部屋に住める
- そもそも家賃のバランスが取れていないので滞納リスクが高い
- 職業と給与明細の嘘もついてはいけない
賃貸の審査で年収の嘘はつかない方がいい
まず結論として、賃貸の審査で嘘の年収を申告するのはやめておいた方が良いでしょう。
「嘘をついて部屋を借りた」「不動産会社に協力してもらった」という事例は数多く存在しますが、得られるメリットよりもリスクの方が明らかに大きいのです。
- 理想の部屋に住める
- 入居後に再審査はされないことが多い
- バレた時に契約を解除されても文句がいえない
- 家賃と年収のバランスが見合っていない
- 結果的に訴訟を起こされる可能性もある
一度審査に通れば再審査されることはほとんどない一方、もちろん絶対ではありません。
すなわち、確定的なメリットといえば「理想の物件に住める」以外にはなく、むしろリスクの方が多いのです。
低品質なサービスを提供する不動産会社は、年収の嘘を勧めてくるケースもあるため、自己防衛の意味も含めて正しい認識を持ちましょう。
賃貸の審査で年収の嘘をつく3つのリスク
ここからは、賃貸の審査で年収の嘘をつくリスクを詳しく解説します。
実際のところ、発覚せずにそのまま入居できた、という方も周りに存在するかもしれませんが、甘い誘惑に負けず健全な物件探しを心がけてください。
バレた時に契約を解除されても文句がいえない
基本的に、賃貸契約書の約款には「虚偽申告を禁止する」旨が明記されており、当然年収の嘘も該当します。
そして、もし発覚すればオーナーの一声で退居せざるを得なくなり、以下のようなデメリットも待ち受けているのです。
- 短い猶予期間の間に部屋を探す必要がある
- 新しい賃貸の契約と引っ越し費用で数十万円かかる
- もちろん退居で発生する費用は全額自費負担
物件に人気がなければ、次の入居者を探す手間を考慮してオーナーも目をつぶるかもしれませんが、「嘘をついてまで住みたい物件」なら放っておいても部屋は埋まるでしょう。
すなわち、比較的簡単に強制退去を求められる可能性があり、その際はもちろん一切の反論の余地はありません。
家賃と年収のバランスが見合っていない
賃貸物件を借りる際の家賃相場は、年収の30%が基本となっており、引っ越し後の生活水準を維持したいのなら、額面ではなく手取りで算出するのが適切といえます。
そのため、手取り20万円(額面23万円)の方が月収30万円と嘘をついて無理に部屋を借りると、次のような問題が発生するのです。
- 通信費・光熱費・食費を切りつめても2~3万円しか残らない
- 交際費次第では逆に赤字になる
- 趣味費や貯蓄を捻出できない
参考までに、上記は仕事が順調で一切トラブルがないケースであり、もし退職して収入がなくなれば家賃自体が払えなくなるでしょう。
そして、滞納者として再度年収の証明を求められ、嘘が発覚し強制退去を要求されたものの引っ越し代も準備できない、という最悪のパターンもありえます。
結果的に訴訟を起こされる可能性もある
年収の嘘が発覚しただけで裁判に発展する可能性は低いですが、収入が見合わず家賃を滞納した場合は、少額訴訟を起こされるリスクがあります。
- 少額訴訟でも1度は法廷に呼び出される
- 滞納分の支払いを命じられる
あくまでも民事となるため、きちんと裁判所に従えば刑事罰は与えられません。
しかし、そもそも適切な家賃相場で物件を探していれば起こり得ないトラブルなので、やはり年収の嘘は非常にリスキーといえるでしょう。
賃貸の審査で年収の嘘をつくメリット
ここからは、先ほどふれたリスクと対比するために、賃貸の審査で年収の嘘をつくメリットについても見ていきましょう。
ハイリスクローリターンということを知り、健全な部屋探しに役立ててください。
理想の部屋に住める
年収の嘘をつく最大のメリットといえば、やはり理想の部屋に住めることでしょう。
- 設備が充実した部屋に住める
- 駅から近くて通勤がラクになる
- 知人・友人を呼ぶのも楽しくなる
年収を高く申告するだけで、自分が求める生活が手に入るのなら、確かに少し気持ちが揺らいでしまいそうですね。
しかしながら、収入が見合わないために様々なコストを切り詰めなければならず、本当にそれが理想の暮らしなのかを考える必要がありそうです。
入居後に再審査はされないことが多い
賃貸契約は、一度通ってしまえば再審査を行う必要がなく、年収の嘘をついても発覚する可能性は低いといえるでしょう。
- オーナーと管理会社としては家賃が入れば問題ない
- 単純に手間がかかる
ただし、それは基本的なパターンに限った話であり、家賃を滞納した場合は収入証明書などを求められるケースがあります。
もちろん、年収の嘘がバレれば強制退去と少額訴訟が同時に降りかかってくるリスクもあるため、再審査されないとしても、決しておすすめはできません。
賃貸の審査でついてはいけない2つの嘘
ここまでは年収に絞って解説してきましたが、賃貸の審査では他にもついてはいけない嘘があります。
健全に理想の暮らしを手に入れるためにも、ぜひ参考にしてください。
職業の嘘
年収よりも発覚しやすく即座に審査否決となるのが、職業の嘘です。
あくまで概算で申告する収入額とは違い、勤務先はブレることのない確定情報なので、比較的簡単に調べやすくなっています。
- 電話で在席確認すればすぐに分かる
- 本当に実在する会社ならネットで検索すればヒットする
- 事業規模や従業員数も調べられる
参考までに、派遣や契約社員であるにも関わらず、正社員と偽っても給与明細などからバレてしまうため、嘘をつかず正直に申告しましょう。
給与明細の偽造
給与明細の偽造は、年収と職業の嘘よりもさらにリスクが高く、絶対におすすめすることはできません。
一見すると素人には難しそうですが、以下のようなケースでは比較的簡単に実行できてしまう点にも注意が必要です。
- 不動産会社が勧めてくる
- アリバイ会社を利用する
- 画像編集ソフトに精通している
にわかには信じがたい話ですが、過去には不動産会社が給与明細の偽造を勧めてきた、という事例があり、アリバイ会社という専門業者も存在します。
さらに、有料の画像編集ソフトに精通していれば、造作もない作業である一方、バレた際の処遇は当然とても重い内容です。
- 引っ越し後でも強制退去を求められる
- 家賃保証会社に虚偽申告の記録が残る
- 公文書偽造の罪になる
そして、契約後に発覚した場合は、強制退去に加えて「詐欺罪」で立件される可能性もゼロではなく、まさに百害あって一利なしの嘘なのです。
賃貸の審査で年収の嘘をつくと様々なリスクがある
本記事では、賃貸の審査で年収の嘘をつくリスクやメリット、その他のついてはいけない嘘を解説してきました。
- バレた時に契約を解除されても文句がいえない
- 家賃と年収のバランスが見合っていない
- 結果的に訴訟を起こされる可能性もある
年収を少しだけ高く申告すれば、自分が求める理想の物件に住めるかもしれませんが、そこには様々なリスクが潜んでいます。
健全に物件を探すためにも、本記事の内容をきちんと押さえておきましょう。