賃貸物件の鍵は、室内へ入るための大切なアイテムであり、オーナーから部屋を借り受けている証明のような役割も持っています。
一方、仕事や学業で多忙な毎日を過ごしていると、いつの間にか鍵を紛失してしまうことがあり「お金がかかるか知りたい」「対応方法が分からない」といった悩みを抱える方も少なくありません。
一見するとインパクトが大きいハプニングですが、落ち着いて冷静に対処すれば問題ありませんよ!
そこで本記事では、賃貸の鍵を紛失した際の対処方法や、費用負担について解説します。
- 紛失による鍵交換費用は原則として借り手が負担する
- 鍵を紛失した際はまず捜索してから管理会社へ連絡する
- 管理会社から指示があるまで独断で鍵交換は行わない
具体的な費用相場に関しても掲載しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
賃貸の鍵を紛失した場合は退去時に費用が発生する
賃貸物件の鍵は退去時にすべて返却する必要がある一方、もし紛失した場合は当然ながら「返すべき鍵が存在しない」状態のはずです。
- 2本のうち1本だけを失くしてしまった
- 預かった鍵をすべて失くしてスペアで生活していた
上記はいずれも退去時にシリンダーごと交換する義務が発生し、工事費用は原則借り手が負担しなければなりません。
1本でも鍵を紛失すれば、その部屋のセキュリティ性は著しく脆弱になってしまうので、退去時に原状回復することになります。
具体的な相場は10,000~25,000円と少し高額なだけに「できれば交渉して免除にしたい」と考える方もいるかもしれませんが、以下の理由から回避するのは現実的に難しいでしょう。
- 大家の資産の一部である鍵を弁済する必要がある
- 国交省のガイドライン*にて「鍵紛失の交換費用相当分を全額賃借人負担とする」と記載されている。
- 基本的に契約書に借り手負担の旨が明記されている。
*国交省のガイドラインは指標を記載しているに過ぎず、あくまでも法的効力はありません。
もちろん、入居中に紛失が判明した場合も、借り手が原状回復費用を負担しなければならないため、兎にも角にも賃貸物件の鍵は普段から厳重に管理するのがおすすめですよ。
原則として、鍵紛失による交換費用を敷金で賄うようにリクエストすることはできない点にも注意してくださいね。
賃貸の鍵を紛失した時の対処法
ここからは、賃貸物件の鍵を紛失してしまった際の対処法を確認していきましょう。
入居中に「失くした」と気付いた場合は、ぜひ参考にしてください。
気づいた時点で探してみる
もし入居中に鍵を失くした場合は、一度落ち着いてから探してみましょう。
- まずは鍵が確実にあった時まで記憶を遡る
- その時点でしまっていた場所をチェックする(カバン・ポケットなど)
- 見つからない場合はその日の行動ルートを探してみる(徒歩ルートや店、職場など)
上記のステップで捜索すれば、思いもよらないところで鍵が見つかる可能性もあるため、できる限り冷静に対処してください。
この段階で管理会社などに報告すると、見つかった時に再度連絡する手間が発生するので、一旦後に回すのがおすすめです。
管理会社に報告する
どこを探しても見つからない場合は、管理会社に連絡して今後の指示を受けてください。
もし夜間で連絡がつかない時は、先に鍵業者へ解錠を依頼して、翌日の早い時間に管理会社へ報告しましょう。
紛失の報告は少し気が引けるかもしれませんが、賃貸物件に関するトラブルは必ず管理会社へ伝えなければなりません。
素直に打ち明ければ担当者が親身に対応してくれるので、なるべく早めに済ませましょう。
不動産会社によっては保管している鍵で解錠してくれるケースもあります!営業時間外で連絡が取れない場合は別ですが、指示がない限り鍵業者への依頼はしない方が良いですよ。
鍵業者などへ連絡する
管理会社へ報告した後は、鍵業者や警察へ必要な手続きを行います。
- 鍵業者:管理会社に鍵を開けてもらえない場合は鍵業者に解錠のみ*を依頼
- 警察:最寄りの交番・警察署に遺失物の届け出を行う
- 鉄道会社:もし電車内で失くした可能性があれば鉄道会社へも確認しておく
*解錠のみに留める理由は後ほど解説します
電車内の遺失物は、しばらく経つと管轄の警察署へ引き渡されますが、失くした直後の場合は鉄道会社に連絡しましょう。
もし警察に届けられていても、すでに複製されているリスクがあるので、その点も踏まえて管理会社に相談してみてください!
賃貸の鍵を紛失した時の注意点3つ
ここからは、賃貸の鍵を紛失した時の注意点を3つ解説します。
滞りなく手続きできるように、しっかり押さえておきましょう。
退去時にスペアで数合わせしない
入居時に2本預かっている場合は、たとえ1本失くしても「残っている鍵でスペアを作れば報告しなくても問題ない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、以下の理由からスペアでの数合わせはやめておいた方が良いでしょう。
- 基本的に管理会社は本鍵の識別番号を記録している
- スペアキーの識別番号は簡易的なので知識がある人間が見れば一目で分かる
- 大家に対して本鍵を返却する義務がある
退去時に発覚すれば、大家からの信頼を著しく損なってしまうので、やはり素直に管理会社へ報告するのが最良の選択肢といえます。
スペアキーは4桁程度ですが、本鍵には10桁前後の識別番号が刻印されています。
鍵交換は自分で依頼しない
自分が費用を負担するのであれば、鍵を失くした時点で業者に交換してもらった方がスピーディーな気もしますが、必ず管理会社からの指示を待つようにしましょう。
- 独断で鍵交換すると契約違反になる可能性がある
- 大家が求める仕様へ変更するために再度費用がかかるケースもある
余分なコストを支払わないためにも、最大限注意してください。
鍵を失くした時は、必ず解錠のみを業者へ依頼するようにしましょう!
入居時の鍵交換費用は充当されない
賃貸契約の際に支払った鍵交換費用は、以下の理由から紛失時の原状回復費用に充当されない点に注意してください。
- 入居時の鍵交換はセキュリティ向上が目的なので、紛失時の交換(原状回復)とは根本的な意味合いが異なる
- すでに入居時に消化されているお金であり、敷金のようにストックされていない
一見すると二重で支払っているようにも思えますが、両者は明確に異なる費用となるため、あらかじめきちんと認識しておきましょう。
基本的に敷金が充当されることもないので、新たに費用を支出しなければなりません。
賃貸の鍵紛失は管理会社へ報告した上で退去時に費用を支払おう
本記事では、賃貸物件の鍵を紛失した際の費用負担や相場、具体的な対処法を解説してきました。
- 鍵を失くした時点でポケットや移動ルートなどを探してみる
- 管理会社へ報告する
- 鍵業者や警察への手続きを行う
大切な鍵を失くしたとなれば、つい冷静さを欠いてしまっても無理はありませんが、勢い任せに独断で鍵を交換すると契約違反になるリスクがあります。
まずは一度落ち着いて、移動ルートの捜索や管理会社への報告といった適切な対処を心掛けましょう。