賃貸物件は、持ち家と違って気軽に引っ越せる特徴があり、海沿いや山間部、実家の近くと気分次第で住まいを変える方も少なくありません。
一方、長く住まなければ得られない利点ももちろん多く、「10年以上同じ部屋を契約している」というケースもあるのです。
そこで今回は、賃貸物件に長く住むメリットとデメリットを解説します。
居住年数まで想定できれば、希望条件の優先度もより明確になり、適切な予算設定にも繋がるため、ぜひ参考にしてください。
- 賃貸物件に長く住むと家賃の減額や修繕費用が抑えられる可能性がある
- 設備と家賃が更新されず自然と後から入居した人の方が好条件になるデメリットも
- オーナーと良好な関係を保ち契約更新時に相談してみるのがおすすめ
賃貸物件に長く住むメリット・デメリットとは
賃貸物件に長く住むメリットは以下の通りとなっており、全体的にコスト面でお得になる印象です。
- 家賃の減額交渉が通りやすくなる
- 退去時の修繕費用を抑えられるケースがある
- 引っ越し費用自体がかからない
特に家賃の減額は毎月の負担を大幅に抑えられるため、後ほど解説する詳細をきちんと把握した方が良いでしょう。
対して、長期的な居住には相応のデメリットもあり、賃貸物件を借りる上ではこちらも重要なポイントといえます。
- どれだけ家賃を払っても物件は自分のものにならない
- 室内の設備が古いまま
- 新しい入居者の方が家賃が安い可能性がある
長く住み続ける分、設備と家賃が更新されず、コストも流れ出ていく一方になることから、メリットとのバランスを考慮して物件を決めるのがおすすめです。
賃貸物件に長く住む3つのメリット
ここからは、賃貸物件に長く住むメリットを詳しく確認していきましょう。
それぞれのポイントを押さえて、物件探しに役立ててください。
家賃の減額交渉が通りやすくなる
賃貸物件の家賃相場はオーナーの匙加減で決定するため、交渉次第では契約当時よりも安くなる可能性があります。
そして、長く住むほど次のような材料が使えるようになり、成功率も飛躍的に向上するでしょう。
- 築年数が古くなり周辺物件に比べて家賃相場が高くなった
- 自分が退居してからすぐに借り手がつかなそうな物件なら強気で交渉できる
築年数が古い物件は新しい借り手がつきにくいため、オーナーは「退居してほしくない」という気持ちから家賃交渉に応じる可能性が高まります。
加えて、周辺相場よりも自室の家賃が割高であれば、より強気で臨むことが可能です。
退去時の修繕費用を抑えられるケースがある
賃貸物件に長く住み続けると、家賃だけでなく退去時の修繕費用も安くなるケースがあります。
たとえば、主な設備の耐用年数は国税庁によって次のように定められており、超過している場合は経年劣化としてオーナーが原状回復費用を負担するのです。
- 備え付けのエアコン・洗濯機・冷蔵庫:6年
- カーテン・寝具:3年
- 洗面台などの給排水設備:15年
ただし、故意的な破損に関しては変わらず借り手の責任となるため、メリットを活用したいのなら、最大限丁寧に使うようにしましょう。
引っ越し費用自体がかからない
1つの物件に長く住み続ければ引っ越し自体が必要なくなり、大幅に費用を節約することができます。
- 敷金・礼金:家賃の2~3か月分
- 前家賃:家賃の1か月分(月途中は日割り)
- 仲介手数料:家賃の1か月分
- 引っ越し費用:3万円~20万円
- その他費用:保険料・家賃保証料で数万円
もし家賃8万円の部屋に移るとすれば、最低でも50万円近いコストがかかるので、長く住み続けるととても大きな節約効果が得られるのです。
賃貸物件に長く住む3つのデメリット
ここからは、長く住む3つのデメリットも確認しましょう。
両方の側面を把握し、適切な居住年数を設定してください。
どれだけ家賃を払っても物件は自分のものにならない
当然ながら、どれだけ家賃を納めても賃貸物件が手に入ることはなく、「気が付けば家が買えるほどに払っていた」というケースも少なくありません。
毎月8万円の家賃と更新料を2年おきに16年間支払った場合
(8×12)×16+(8×8)=1,600万円
1,600万円あれば都心のワンルーム1部屋が買えてしまう
1か月ごとなら大したコストではなくとも、積み重なれば1,000万円以上まで膨れ上がることから、やはり賃貸物件を借りる際は注意しておくべきポイントといえるでしょう。
室内の設備が古いまま
賃貸物件の設備は、入居者が退居した際の原状回復工事でリフォームするのが基本となるため、住み続けている限り室内設備は古いままになってしまいます。
- 様々な不具合が発生する
- 年式が古く新型より機能性に劣る
- デザインが古い
特に、エアコンや水回りは年式の違いで機能に差がでてくるので、どうしても我慢できない場合は、経年劣化による故障時に新型と入れ替えてもらうように交渉してみてください。
新しい入居者の方が家賃が安い可能性がある
賃貸物件に長く住み続けていると、以下の理由から新しい入居者の方が安い家賃になる可能性があります。
- 築年数の経過に伴い家賃を引き下げた
- 周辺の家賃相場が下落した
実際のところ、オーナー側から家賃の引き下げを提案してくるケースはほぼあり得ません。知らぬ間に割高な家賃を払わないためにも、こまめに入居者募集などをチェックし、更新のタイミングに交渉してみてください。
賃貸物件に長く住む時のポイント
ここからは、賃貸物件に長く住む上で押さえるべきポイントを解説します。
設備交換や家賃交渉の成功率を高めるためにも、しっかり押さえておきましょう。
契約更新のタイミングは交渉のチャンス
契約更新は、オーナーにとって「家賃収入が継続するかどうか」が決まるタイミングであり、通常よりも交渉が成功しやすい傾向です。
- 家賃収入を途切れさせたくない
- 節目として家賃の見直しに応じやすくなるオーナーもいる
あまり強気すぎる交渉は裏目にでますが、「他の部屋が安くなっている」「経年劣化で設備に不具合が目立つ」といった材料を揃えて、相談するようなスタンスで臨みましょう。
オーナーとの関係性を良好に保つ
長く住み続けるのなら、設備交換や家賃交渉を行わずとも、オーナーと良好な関係を保っておいた方が良いでしょう。
- 同じマンション・アパート内に住んでいるならきちんと挨拶する
- 家賃は遅滞なく払い続ける
- 住民間のトラブルを起こさずゴミ出しルールなどを守る
オーナーに気に入ってもらえれば、ちょっとした相談事にも快く対応してもらえるだけでなく、向こうから家賃の引き下げを申し出てくれるかもしれません。
賃貸物件に長く住むならメリット・デメリットの両方を理解しよう
本記事では、賃貸物件に長く住むメリットとデメリット、事前に押さえるべきポイントを解説しました。
- 家賃の減額交渉が通りやすくなる
- 退去時の修繕費用を抑えられるケースがある
- 引っ越し費用自体がかからない
上記の通り、長く住み続ければ退去費用や家賃を抑えられる可能性が高まりますが、以下のデメリットには注意しなければなりません。
- 物件は自分のものにならない
- 室内の設備が古いまま
- 新しい入居者の方が家賃が安い可能性がある
賃貸物件を探す際は、ぜひ本記事を参考に、どれだけ長く住むかも検討してみてください。