新婚カップルの約8割は持ち家ではなく、賃貸住宅(マンションやアパート)から新生活をスタートします。2人きりの空間が持てるとても楽しいイベントである一方、「適正な家賃相場が分からない」「後悔しない探し方は?」という悩みを抱えるケースも多いでしょう。
そこで本記事では、新婚カップルにおすすめの家賃目安や物件の探し方を解説します。いざ暮らし始めた時に困らないように、ぜひ参考にしてください。
- 新婚カップルは手取り額の20~25%内で物件を選ぶのがおすすめ
- 生活スタイルや家賃補助があるなら30%も可能
- 2人の意見をきちんと反映させた物件選びを進めましょう
新婚の家賃相場は手取り額の20~25%がおすすめ
一般的に、賃貸物件の家賃相場は収入の1/3程度が適正とされていますが、近年は「コストのかけすぎ」を指摘する声も少なくありません。
- もそも家賃は何もしなくても発生する「固定費」の一種
- 収入が増加しない限り生活費を圧迫し続けてしまう支出項目
- できることなら安く収めた方が生活に余裕が生まれる
以上のことから、新婚カップルの家賃は基本的には20~25%内に収めると良いでしょう。
参考までに、「家賃保証会社の審査に通る=適正相場」と認識するケースも少なくありませんが、保証会社が見るのはあくまでも額面の金額となり、そこから控除される税金、保険料などは一切考慮していません。
家賃保証会社とは:家賃が遅れた際にオーナーへ立て替える機関。賃借人は連帯保証人を立てる必要がなくなる一方、各社の基準による審査を受ける必要がある。
そのため、賃貸物件を探す際は、必ず手取りの収入ですべて計算するのがおすすめです。
手取りの30%まで予算が組める新婚カップルの条件
先ほど触れた通り、賃貸物件を探すのなら家賃相場は手取りの20~25%内に収めるのが理想です。ただ、様々な物件を内覧するうちに「この部屋なら少し予算を上げても住みたい」と思うこともあるでしょう。
結論として、どうしても物件を気に入ったのであれば契約すべきですが、将来的に家計を圧迫しないためにも、以下の条件を満たしているかを確認してください。
- 当面は共働きする予定で子供を作る予定はない
- 毎月の外食や交際費、お金のかかる趣味が少ない
- 株や債券などを所有し、給与以外の収入が見込める
上記のうちいずれか1つを満たしていれば、コスト面は問題ないでしょう。しかしながら、住み始めた後に「やはり子供が欲しくなった」と考えることも多いので、2人で慎重に相談して、いざという時に自由に動ける環境を整えてみてください。
手取り30%以上の物件を借りるには
ここまで触れた通り、新婚カップルの物件選びは高くても手取り30%以内で探すのがおすすめですが、せっかくの新居を探すのなら、もっとグレードが高い部屋を求めるケースもあるでしょう。
実際のところ、給与所得だけでは避けた方が良い水準ではあるものの、以下2つの制度を利用すれば、生活費を圧迫せずに契約できます。
- 勤め先の住宅手当を使う
- 家賃補助のある物件を探す
「住宅手当」のカバー範囲は月1~2万円程度が一般的ですが、大企業なら家賃の25%までカバーできる可能性があるため、物件を探し始める前に規約を確認しておくと良いでしょう。
また、会社に住宅手当の制度がない場合は、「特定優良賃貸住宅(特優賃)」やUR賃貸住宅の家賃補助を活用することで、家賃が抑えられます。
共働き夫婦の賃貸物件の探し方
ここからは、共働き夫婦が賃貸物件を探す際の具体的な方法を解説します。
住み始めた後のトラブルを避けるためにも、ぜひ参考にしてください。
住まいのエリアを検討する
共働きの場合は、お互いが通勤に便利な物件を選ぶのがベストのため、職場までの所要時間や電車の乗り換えなどを考慮してエリアを検討しましょう。
そして、職場と同様に重視しておきたいのが、2人の両親宅との距離です。
- 「いつでも会える距離が良い」とパートナーが求めるケースがある
- 両親側から提案される可能性もある
- 慣れない夫婦生活では親元に近い方が助けてもらいやすい
よく話し合わずに決めると、家族間のトラブルに発展しかねないことから、両家を交えて相談するのがおすすめです。
ネットで物件を検索する
本格的に決める必要はありませんが、大まかなエリアを絞った後は実際にネット検索で物件を探していきましょう。具体的なポイントは以下の通りなので、できる限り2人で一緒に見るようにしてください。
- 家賃(その他諸費用含む)
- 部屋の広さ
- 間取り
- 築年数
- 最寄り駅と移動距離など
次に、良さそうな物件を見つけたら、仲介業者に問い合わせて内覧の申し込みを行います。実際に見ておけば、住んだ後のイメージや必要な設備が明確になるので、2,3件をピックアップして回ってみましょう。
2人で絶対に譲れない優先順位を決める
いくつかの物件を見て回ると、以下のような譲れない条件を互いに持ち始めるはずです。
- 最寄駅から徒歩10分以内が最重要
- エレベーターはマスト
- スーパーは近場に欲しい
この時、どちらかに比重が偏ってしまうと、後々トラブルに発展する可能性がある一方、予算内ですべてを網羅するのは難しいため、2人で優先順位を決めて、丁度良い落しどころを模索してみてください。
ここまで固まれば、後は本命の物件を探して契約するのみとなります。家賃が収入に見合っているかどうかも確認しつつ、理想の新居を見つけましょう。
新婚が賃貸物件確定後にやるべきこと
無事に物件が決まったとしても、まだやるべきことは残っています。滞りなく新生活をスタートするためにも、しっかり押さえておきましょう。
転出前の手続き
物件が決まった後は、2人が別々に住んでいた物件の退去手続きを進める必要があります。賃貸では契約書に「退去の〇か月前に申し出ることが必要」と必ず明記されているので、事前にチェックしておくと良いでしょう。
その他の重要項目としては、以下の通りです。
- 引越業者の手配
- 役所への転出届の提出(企業の住宅手当を利用する場合は最優先)
- 郵便物の転送届の提出
- 粗大ごみの収集依頼
- 水道、ガス、電気等のライフラインの停止連絡
上記は引越しのトップシーズンである1月から3月、セカンドシーズンの9月~10月にとても混み合うため、余裕をもって動いてください。
入居の手続き
入居後はライフラインの開通手続きと転入届の他に、不動産会社へ現状確認書を提出しなければなりません。
現状確認書とは:入居時点での部屋の状況を申告し、元々あった傷やヘコミと退去時にできたものを区別して敷金精算に用いる。一般的には入居者チェックリストとも呼ばれる。
引っ越しでバタついているタイミングかもしれませんが、このタイミングで部屋の破損や不具合を申告しておかないと、再度引っ越しする際にトラブルへと発展します。家具がなくチェックしやすいうちに、細かく確認しておきましょう。
新婚の家賃相場は20~25%程度がおすすめ
本記事では、新婚カップルの適切な家賃相場や物件の選び方、契約後にやるべきことを解説してきました。
新婚生活は人生のターニングポイントともいえる楽しいひと時である一方、きちんと予算を検討しなければ生活を圧迫することになります。そのため、基本的には手取りに対して以下の水準に収めましょう。
- 手取りの20~25%:一般的な適正水準
- 手取りの30%:将来的に子供を作る予定がなく趣味も少ない
- さらに上の水準:住宅手当や家賃補助を活用
また、家賃相場だけでなく、互いの希望をバランス良く備えた物件選びも重要です。現在引っ越しを検討している新婚カップルは、ぜひ本記事を参考に快適な部屋を見つけていきましょう。