結婚や出産、入学に伴う独り立ちなど、不動産物件を探す動機は様々です。もちろん、「急いで引っ越さないといけない」事情もあるかもしれませんが、焦って契約してしまうと、理想の物件に住めなかった、というケースも多く、契約期間が過ぎるまで不満を抱えたまま過ごすことになるでしょう。
そこで本記事では、賃貸優良物件を探すのにおすすめの時期を解説します。長い人生の中でも数少ないイベントの1つとなるため、コストや設備の両面で理想の物件を見つけ出したい方は、ぜひ参考にしてください。
- 賃貸物件の引っ越しにおすすめな時期は目的によって大きく変わる
- より多くの物件を見たいなら1月~3月
- のんびりと探しつつコストも押さえたい方は7~8月
賃貸優良物件探しにおすすめの時期とは
まず結論として、賃貸の優良物件を探すおすすめの時期は、目的によって大きく変わってきます。
- 1月~3月、9月~10月:転勤や入学を見据えたニーズが高まり物件数が増えてくる
- 7月~8月:物件数は落ち着くものの比較的安い賃料で借りられる可能性がある
そして、各月のメリット・デメリットは下表の通りとなるため、あらかじめ押さえておいてください。
1月~3月、9月~10月 | 7月~8月 | |
メリット | ・様々な物件が流通する ・ライフスタイルの変化に合わせて引っ越せる | ・オフシーズンなので賃料が安い ・家賃交渉などが通りやすい |
デメリット | ・あっという間に目当ての物件がなくなってしまう ・全体的に家賃が高い | ・全体的な物件数が少ない ・物件のバリエーションが少ない |
おすすめの人 | ・企業からの家賃補助などで比較的予算に余裕がある ・できる限り多くの物件から探したい | ・設備などにこだわりがない ・コストを安く抑えたい |
もちろん、その他の月も異なる特徴を持っていますが、今後引っ越しを検討する際は最低限上表を把握しておけば問題ありません。優先した目的や希望を考慮して、自分にとってベストなシーズンを狙ってみてください。
賃貸優良物件探しで押さえておきたいポイント
引っ越しを検討する際は、もちろん優良物件を見つけたいところですが、あまり経験のない方は、「どんな物件が優良なのかが分からない」と悩んでしまうでしょう。
そこでここからは、優良物件探しで押さえておきたいポイントを解説するため、しっかり押さえておいてください。
相場ズレしているか
一般的に、賃貸物件の家賃相場は立地で変動するケースが多く、都心や人気のあるエリア、駅近などは郊外に比べて高額です。しかし、タイミングによっては相場より少し安い物件が見つかるケースもあり、コスト面だけを見れば間違いなく優良物件といえるでしょう。
- 駅から徒歩数分の好立地なのに同じ条件の物件より数千~1万円ほど安い
- 設備が充実している一方、築年数が古い部屋と賃料が同じくらい
ただし、心理的瑕疵物件(事故物件)など、相場ズレには何かしら必ず理由が存在するため、不動産会社の担当にきちんと質問し、自分が許容できる内容かどうかをチェックしてください。
アクセス・生活環境
物件選びでは家賃だけでなく、駅や職場、生活用品の買い出しにおける環境も大切です。
- 駅から徒歩圏であれば家までフラットな道で帰れるか
- バスが必要ならバス停までどの程度の労力がかかるか
- 自転車移動がマストの場合は走行しやすいかどうか
実際のところ、初めての内見では、外観や間取りを気に入ってしまうと「駅まで徒歩15分くらいなら大丈夫」と軽く見過ごしがちになりますが、いざ住み始めれば毎日の通勤通学が辛くなり、悪天候ともなれば帰宅するだけでも一苦労でしょう。
したがって、優良物件を見つけたいのなら、図面に記載された「表面的な情報」だけでなく、実際に周辺を歩いて生活環境を体感し、自分が快適に過ごせるかも重要といえます。
設備の充実具合
優良物件を探す際は、室内の設備にも注目しなければなりません。具体的な内容は以下の通りであり、予算内で1つでも多く備え付けられているところが良いでしょう。
設備のジャンル | 内容 |
水回り | 独立洗面台、室内洗濯機置場、バストイレ付、ガスキッチン、温水洗浄機付便座、追い炊き機能付きバス、システムキッチン |
セキュリティ | オートロック、モニター付きインターホン、防犯シャッター、防犯カメラ |
室内環境 | フローリング、収納スペース |
その他 | ネット環境、敷地内ゴミ置き場、バルコニー |
上表の他に、意外な盲点となるのが「玄関の作り」です。ワンルームなどはドアを開けると居住スペースが丸見えになるケースが多いため、郵便物の受け取りなどは毎回気を使わなければなりません。
加えて、エリアや家賃相場次第ではすべて揃わないこともあるので、ある程度欠けていても妥協するか、自分が求める設備の優先順位をつけると良いでしょう。
外観・共用部の見た目
優良物件を探す基準としては、外観や共用部の見た目もおすすめのポイントです。お洒落な外観、豪華なエントランスや宅配ボックスなどが揃っていれば、実際の利便性だけでなく気持ちの面でも充実するでしょう。
また、引っ越し経験が浅いと「築年数が古い=いまいちな物件」という先入観を抱きがちですが、次の要素を満たしていれば十分カバーが可能です。
- 大規模修繕などのメンテナンスをしっかり実施している
- 費用をかけてリニューアル工事を行っている
- 管理人が日ごろからこまめに掃除している
そして、不動産会社募集は「綺麗になった状態」の画像が用いられていることが多いため、写真だけで判断する場合は注意が必要かもしれません。
帰りたいと思える部屋
ここまでは物件のディテールやコストに注目してきましたが、何よりも大切なのは「自分が帰りたいと思える部屋」かどうかといえます。
- ツタが生い茂っている外観が素敵
- エレベーターより階段が良い
- 少し古いアパートの方が趣があって好き
第三者からすれば優良でなくとも好みは人の自由なので、営業担当の感想よりもまずは自分の考えを大切にしてあげましょう。
ただし、内見時は良く見えても実際に住むと不便さを感じる可能性があるため、ここまで解説したポイントも踏まえつつ、全体的なバランスも考慮しながら決めてみてください。
賃貸物件探しの月ごとの特徴
ここからは、冒頭で触れたハイ・オフシーズンも含めて、年間を通した特徴を解説します。
自分が希望する時期と照らし合わせて、ベストな物件探しを行っていきましょう。
1月~3月
新大学生、新社会人に加えて、企業の定例異動時期も重なり、全国規模で不動産のニーズが爆発的に増加する時期となっています。
- 物件情報量が増えて選択肢が大幅に広がる
- 内覧から契約に至るまでのスピードが早い
一方、のんびりしていると目当ての物件がなくなってしまうリスクもあり、申込者が溢れかえる性質上、オーナーも強気な家賃を設定してくるので、余裕を持った予算を組んでおいた方が良いでしょう。
4月
物件数自体はまだ多いものの、1月~3月と比べれば少し落ち着きを見せる時期であり、契約が決まるスピードも多少は鈍化する傾向です。
- 優良物件もまだ残っている可能性がある
- 時間をかけて探したいのなら狙い目のタイミング
一方、4月といえばすでに学校や社会人生活が始まっているタイミングとなるため、引っ越しの目的次第では間に合わないデメリットがあります。
5月~6月
先ほど触れた1月~4月は単身者のニーズが高いのに対し、5月~6月はファミリー層や新婚のカップルが部屋を探し始める時期となります。
- 賃貸不動産の流通量が落ち着いている
- 腰を据えてじっくり検討することが可能
しかしながら、物件の選択肢はトップシーズンよりも格段に少なく、どれだけ探しても目当ての部屋が見つからない、という事態に陥るリスクも想定しておかなければなりません。
7月~8月
冒頭で触れた通り、7月~8月は1年の中で最も物件の流通が減少する時期です。
- 選択肢自体が少なく好条件の物件はあまり期待できない
- 数週間程度かけて複数の部屋を回れる
加えて、オーナーや不動産会社としても「早く契約したい」というバイアスがかかりやすいので、諸費用、あるいは家賃の価格設定自体が安くなり、交渉が通る可能性も飛躍的に上がるでしょう。
9月~12月
9月~10月は、再び人の移動が激しくなっていく時期です。
- 企業の異動によって単身者の物件探しが活発になる
- 9月が1年の節目となる海外の学校から帰国してくる留学生のニーズも高まる
物件の流通量も増え、入居までのスピードもトップシーズンに向けて加速していくタイミングです。
賃貸優良物件探しのタイミングは自分のニーズ次第で変わる
本記事では、賃貸優良物件を探すおすすめの時期やポイント、各月の特徴を解説してきました。優良物件を探す際のポイントは以下の通りであり、それぞれを踏まえて総合的に判断しなければなりません。
- 相場ズレしているか
- アクセス・生活環境
- 設備の充実具合
- 外観・共用部の見た目
- 帰りたいと思える部屋
そして、最大限多くの物件を参考にしたいのなら1月~3月、家賃を抑えてのんびり探したい場合は7~8月がおすすめといえるでしょう。現在引っ越しを検討している方は、ぜひ本記事を参考に自分のニーズに合わせて時期を選んでみてください。